イジメ返し―新たな復讐―

そういえば隣のクラスの神宮寺エマと仲良くし始めてから愛奈はどこかほんの少しだけ変わった気がする。

今まではあたしやほかの人間を怒らせないようにと気ばっかり遣っていたくせに、今は少し違う。

どことなく黒いオーラを漂わせ、時にギラギラとした悪意に満ちた表情を浮かべることがある。

志穂をけしかけて愛奈を屋上に呼び出させた時だって、志穂は頬を赤らめて教室に戻ってきた。

なんでもないって言っていたけど、本当にそうだった?まさか愛奈に叩かれた……?

神宮寺エマに何か入れ知恵でもされたんだろうか……?

愛奈のことをジッと見つめていると、愛奈がゆっくりとこちらに視線を送ってきた。

普通だったらすぐに目を反らすのに、愛奈は反抗的にあたしから目を反らそうとはしない。

それどころか挑発しているかのように、わずかに口の端を持ち上げて嫌な笑みを浮かべた。

その瞬間、急激な怒りが沸き上がってきた。

あたしは立ち上がると、愛奈の席に真っすぐ向かった。

途中、美術部の女の机の上にコンパスが乗っているのに気が付いた。そのコンパスを右手に握りしめると、あたしは愛奈の席の前に座った。

「テメェ、何笑ってんだよ」

「笑ってないよ」

「神宮寺エマっていう味方ができたからって調子に乗んなよ?」

「別に調子になんて乗ってないよ。それよりもカスミちゃん、自分の心配をした方がいいんじゃない?」

愛奈は饒舌にそう言うと、にやりと笑った。