「志穂、可愛いよ」
きっとこれが阿吽の呼吸というやつだ。あたしと龍くんの足はどちらが言い出したわけでもないのにホテルに向かっていた。
ベッドに寝転んだとき、バッグの中に入れていたスマホが鳴り続けていることに気が付いた。
きっと紅蘭や華だろう。そういえば咲人を紹介してもらうことになっていた。でも、今はそんなことどうだってよかった。
目の前には今まで交わったことがないほどキレイな顔の龍くんがいる。龍くんの腕に抱かれながら幸せを噛みしめる。こんな幸せがあるなんて。
エマはすごい。やっぱり美人にはイケメンの友達ができるんだろうか。
彼のようなイケメンをあたしにパスしてくれたことさえ奇跡だ。
あたしがエマだったら彼のことを紹介などしないだろう。
紅蘭や華が紹介してくれることになっていた咲人が急にちっぽけな男に思えてくると同時に、そんな男を紹介しようとしてきた紅蘭や華すらも小さく感じた。
「写真撮っちゃおうっと」
事が終わると、疲れていたのか龍はそのまま眠ってしまった。
あたしは幸せを噛みしめたまま、シーツに体をくるみ龍との2ショットを撮影した。
気持ちが高揚していた。目をつぶっていても龍がイケメンだということはすぐにわかる。
こんなイケメンがあたしの相手だとしったら、きっとカスミも驚くだろう。
あたしはカスミに写真付きのメッセージを送った。



