それすら無視したらどうなるか安易に想像することができる。

学校に着くなりみんなの前で晒し上げられて恫喝され、奴隷以下の扱いを受けることになる。

結局、わたしには選択肢はないのだ。

【カスミちゃん:数学P146の答え全部今すぐ送って】

わたしはカスミちゃんの指示に従ってすぐさま数学の教科書を開いて回答を写真に撮って送信した。

【これで大丈夫かな?】

【カスミちゃん:遅い】

【カスミちゃん:あとP148も全部】

【カスミちゃん:現代文の課題もね】

【カスミちゃん:アンタは課題のテーマ変えて】

カスミちゃんからのメッセージが止まらない。

【ごめんね。順番に送るからちょっと待ってね】

【カスミちゃん:のろま】

そのメッセージの後に届いたスタンプ。

画面に表示された可愛くもないキャラクターの怒った表情にわたしの心はかき乱される。

宿題や課題をわたしに押しつけてやらせる行為は今に始まったことじゃない。

高校を卒業後にこの町を出るという目標の為にわたしは必死に勉強をした。