イジメ返し―新たな復讐―

「お母さんは知らないでしょ!?あたしが小学校の時、なんて言ってイジメられていたのか。どうしてマスクをつけるようになったのか!何も知らないくせに!!」

「――知ってるわ。佐知子が苦しんでいたことも全部知ってる。ごめんね、佐知子。お母さん、クラスの子達の家に行って佐知子のことをイジメないでくれって直談判に行ったの。……それでイジメがひどくなった?お母さん、余計なことしちゃったかな」

母の言葉にあたしは言葉を失った。

「どういう…意味?」

「小学生の時、佐知子……クラスの子にイジメられてたでしょ?この町は小さな町だから、親同士もみんな顔見知りなの。だからね、イジメている子達のお母さんにお願いしたの。うちの佐知子と仲良くしてほしいって」

「え……」

まさか。母がそんなことをしていたなんて。

そうだ……。思い起こせば確かに風邪をひいて休んだあとイジメは突然ピタリとやんだ。

マスクをつけていったことでイジメはなくなったのかもしれないと思っていたけど、本当はそうじゃないの……?

お母さんが裏で手を回してくれていた……?

だから、イジメは収まった?マスクのせいなんかじゃなかった……?

「そんな……」

今まで必死になってしてきたことが根底から覆されたような気持になった。

あたしはヘナヘナトその場に座り込んで泣き崩れた。

「なんで……だったらなんでもっと早く言ってくれなかったの……?あたし、無理して……マスクつけて……バカみたい!!」

そう叫んだとき、母の様子がおかしいことに気付いた。

体をわずかに痙攣させ、視界が定まらない母。

「お、お母さん……?」

こめかみを押さえていた母の手がだらりと床に投げ出される。

「さ、ちこ……」

そしてあたしの名前を呟くと、母はそのまま床に崩れ落ちた。