イジメ返し―新たな復讐―

『佐知子、この間謝ってきたもんね。わたしのことイジメてごめんね、って。香織と杏奈に指示されてわたしのことイジメてたんでしょ?そんな子達と無理に友達でいる必要ないよ。それに、佐知子いつも言ってるでしょ?香織は化粧が濃いとか、杏奈はSNSの画像を加工しすぎて別人みたいって。嫌な人と嫌々友達でいる必要はないと思うの』

あんな嘘までつくなんて信じられない。

「なんでよ……。なんであたしが……!!」

そう叫びながら頭を抱える。

でも、思い返せばあたしも同じことをした。

『愛奈さ、前に香織と杏奈のことムカつくって言ってたよ?二人には内緒ね、って言われたけど、そう言うこと言うのあたし許せなくて』

愛奈はそんなこと一言も言っていない。あたしが作った話。

香織と杏奈に愛奈のことをあることないこと話を盛って悪く言い、二人が愛奈を嫌うように仕向けた。

自業自得、身から出た錆、因果応報。

そんな言葉がグルグルと頭の中を巡る。

どうしてこんなことになってしまったんだろう。

そうだ。マスクだ。あたしがマスクをしていないから。

マスクをすればまたみんなはあたしのことを受け入れてくれるかもしれない。

この顎さえ隠せればなんとかなるかもしれない。

「さ、佐知子……?どうした?学校で何かあった?」

コンコンッと部屋のドアがノックされた。母が部屋の前に立ち、あたしを心配している姿が目に浮かぶ。

渋々部屋の扉を開けると、案の定曇った表情を浮かべた母が立っていた。

「別に。ねぇ、明日からずっとマスクをして登校したいから学校に許可とって」

「え?」

「マスク禁止になっちゃったの。だから、マスクをしなければいけない理由を保護者に書いてもらって提出しなくちゃいけないの。だからお願いね」

禁止になってからも先生がみていないところではこっそりマスクをつけていた。

でも、これからはずっとつけ続けていたい。親の一筆があればそれが可能だ。

「佐知子……」

母は少しだけ困惑したようにあたしの名前を呼ぶと、ふぅと息を吐きだして決意を決めたように言った。