ハメられた……?あたしが、愛奈に……?クラスの最底辺のアイツに。
「ご、ごめん。ま、ま、またあとで」
苦し紛れにそう言うと、あたしは自分の机にダッシュしてカバンを掴むと、そのまま教室を飛び出した。
「おい、逃げんな!!!!」
「佐知子!!」
香織と杏奈の怒声が背中にぶつかる。
それを無視してあたしは全速力で廊下を駆け抜けてこの状況から逃げ出した。
「――さ、佐知子!?学校はどうしたの?」
顔面蒼白で家に帰ったあたしに母は驚きを隠せない様子だった。
あたしはその問いに答える余裕などなく、顔を硬直させたまま自分の部屋に直行して部屋の鍵をかけた。
リュックを床に放り投げてベッドの上に座って膝を抱え込む。
目をつぶると嫌でもさっきの出来事が蘇り胸が張り裂けてしまいそうになる。
もう終わりだ。もう学校へはいけない。
今日の一件で、香織と杏奈を敵に回してしまった。二人は絶対に許してくれないだろう。
カスミちゃんだってもうあたしを守ってくれる気などサラサラないだろう。
いや、むしろカスミちゃんは最初からこうするつもりだったのかもしれない。
カスミちゃんが自分のプラスにならないことを自分から引き受けるはずはない。
できるところまでお金を引っ張り、使えなくなったら切り捨てる。
あたしはカスミちゃんにとってそういう人間だったのだ。
それなのにカスミちゃんを信じて、香織や杏奈との仲を取り持ってもらおうとするなんてあたしは心底バカだ。大バカ者だ。
それに……。愛奈の笑みが瞼に浮かんで、腸が煮えくり返りそうになる。



