小学校の時と同じ空気が教室中に広がっている。
「や、やめてよ。香織も杏奈も……」
声が上ずり、言葉が続かない。恐ろしかった。他人の視線が全てあたしの顎に向いている気がして。
そのとき、「佐知子」と誰かがあたしの名前を呼んだ。
振り返ると視線の先にいたのは悪魔のような笑みを浮かべたカスミちゃんだった。
あたしはカスミちゃんに屋上に呼び出された。
なぜ呼び出されたのかすぐにわかった。
あたしはなけなしの1万円をカスミちゃんに手渡した。
「ちゃんと約束守れたんだ?偉いじゃん。また賭けやって遊ぼうね」
カスミちゃんは満足そうに微笑みながらポケットの中に1万円をおしこんだ。
「あっ、ねぇ。そういえばさ、アンタ今日なんかあったの?香織と杏奈とヤバい雰囲気だったじゃん」
「えっ……」
「裏サイト、見た?あたし、今日たまたま見たんだけどさ色々書かれてたじゃん?」
「う、うん……」
カスミちゃんの言葉に小さく頷く。まさかカスミちゃんまであの掲示板を見ていたなんて。
「つーかさ、裏でああいうこと書く奴ってマジちっちゃくね?直接言えないくせに匿名であれこれ言うんじゃねぇよって思わない?」
「っ……」
「あれ書き込んだのって、香織と杏奈だよ?アンタのことよく知ってるみたいな書き方だったじゃん。マジ最低だね」
やっぱり……あれを書き込んだのは香織と杏奈だよね。



