許せない。
怒りとともに蘇ってくるのは『アゴちゃん』と呼ばれてイジメられた過去だった。
もうイジメられたくない。あんな思いは絶対にしたくない。イジメられることへの恐怖が全身によみがえってくる。
顔を歪めてスマホを握り締めた時、誰かの視線を感じた。
ふと顔を持ち上げて視線を左右に振ると、じっとあたしの方を見つめる愛奈と目が合った。
愛奈はあたしと目が合うと、にこりと楽しそうな笑みを浮かべた。
あたしが焦っているのを楽しんでいるかのような愛奈の様子に怒りが込み上げてくる。
何よ。アンタだってモブキャラのくせに。
こんなことになったのは全部アンタのせいなんだから。
さっきのあの言葉……あたしへの仕返し?腹いせだよね?
あたしがアンタのことをイジメたから。
でも、しょうがないじゃない。あたし、もうイジメられたくない。
カスミちゃんに目をつけられたらって考えるだけで足が震えてくる。
カスミちゃんはいじめっ子の中でも最恐クラスの人間だ。
ひとまずクラス替えまでカスミちゃんのターゲットが愛奈ならば安心していられる。
愛奈をイジメることでカスミちゃんのあたしへの評価もあがるだろう。
いわば愛奈はカスミちゃんへの生贄だった。
生贄にはその役目を全うしてもらわなくては困る。
あたしはなおもあたしから目を離さない愛奈をぎろっと睨み付けた。



