「……本当に成功するのかな……」

一人になると急に不安になってきた。

エマちゃんと連絡先を交換した後、公園の入り口で分かれたわたしは一人自転車にまたがり家路を急いだ。

『自転車で家まで送っていこうか?』

とエマちゃんに提案したものの、『まだやることがあるから』とエマちゃんはそれを断った。

やることって一体なんだろう。そもそも、どうしてこんなわたしの為にエマちゃんは協力してくれようと思ったんだろう。

「ホントの天使みたい」

エマちゃんという仲間ができたというだけでわたしの心はいくらか軽くなった。

イジメ返しというものが成功するとは正直思っていない。

スクールカーストの底辺に位置しているわたしがカーストの上部の人間に下剋上を果たせるわけもない。

そんなの漫画や小説の中だけの話。そんなの現実ではありえない。

でも。もしかしたら……エマちゃんの力強い瞳はそんな前向きな気持ちにさせてくれる。

わたしはふぅと息を吐くと、自転車を漕ぐ足を止めた。