「わたしに限ってはないよ。わたしはイジメられなければそれでいいの。ありきたりな学校生活を送ってこの学校を卒業して、進学と同時にこの町を出られればそれでいい」

「そっか。じゃあ、これからイジメ返しのプランを練らないとね。まず、誰にイジメ返しをするか決めよう。愛奈ちゃんをイジメているのは誰?」

「イジメの首謀者はカスミちゃん。それとその友達の志穂ちゃん」

「そう。じゃあ、イジメ返しはその二人だけでいいの?」

「あっ……」

そのとき、ある人物が脳裏を過った。

佐知子だ。佐知子も現在進行形でわたしをイジメる加害者だ。

「佐知子も。最近からだけど……わたしは佐知子にもイジメられてる」

「じゃあ、3人ね。まずは誰から?」

わたしはぐっと唇を噛みしめた。

「佐知子にする」

エマちゃんの言うイジメ返しが成功するかどうかはまだ分からない。

そんなリスクがあることをカスミちゃんから試すということはためらわれた。

まずは佐知子だ。佐知子にイジメ返しをしよう。

「分かった。佐知子ちゃんへはどんなイジメ返しをしようか」

エマちゃんはそう言うとにっこりと微笑んだ。