昇降口で合流したあと、わたしとエマちゃんは揃って学校を後にした。

昼間に制服でフラフラしていると目立つということもあり、わたしたちは学校から歩いて数分の距離にある公園へ向かった。

「どうしたの、暗い顔して」

ベンチに座ると、エマちゃんが不思議そうにわたしの顔を覗き込んだ。

「無断で早退しちゃったな……って。学校から家に連絡いっちゃうなぁって」

無断早退したなどと両親に知られたら烈火のごとく怒られるだろう。

『誰がお前の授業料を払っていると思ってる!?誰かのおかげでお前は学校へ通えているんだ!?俺が授業料を払うのを辞めたらお前は学校へ通えなくなるんだぞ。それでもいいのか!?』と父はわたしを恫喝するだろう。

カスミちゃんたちから逃れる為に突発的に教室を飛び出してしまったことを今さらながらほんの少しだけ悔やむ。

「その心配はいらないよ。エマ、職員室で先生に『林さんは体調不良で早退しました。』って伝えておいたから」

「え……本当に?」

「うん。だから、大丈夫」

わたしは一体どこまでエマちゃんにお世話になるんだろう。

「ごめんね、エマちゃん。わたしのせいでエマちゃんまで巻き込んじゃって……」

「いいの。エマもたまにはサボりたいなぁって思ってたし。一人じゃ勇気がでないことも、誰かと一緒ならできることってあるもの」

「ありがとう」

そう言ってお礼を言いながらわたしは視線を足元に下げた。