「辛い時は辛いって言っていいんだよ。誰かに話した方がいい。エマもね、そういう経験があるの。だから、愛奈ちゃんの気持ちがよくわかるの」

「エマちゃん……」

「今まで話したこともないエマにあれこれ話すのは抵抗があると思う。だから、愛奈ちゃんが話したくなるまで待つよ。大丈夫。エマは愛奈ちゃんの味方だから」

エマちゃんはそう言うとにっこり笑った。

「あと一分で門を閉めるぞー!!」

そのとき、生徒指導の先生が門に手をかけて叫んだ。

「あ……大変!急がないと遅刻しちゃうよ!」

わたしの手をギュッと掴むと、エマちゃんは優しく微笑んだ。

「愛奈ちゃん、行こう」

「う、うん!」

温かいエマちゃんの手のひらにわたしの心はほんの少しだけ落ち着きを取り戻した。