『うん、そんな感じ。あたし、ああいう風に遊んだことないからすごいリッチな気分になっちゃった。って、ダメだよね。カスミちゃんのお金なのに。本当は自分のお金で愛奈にお土産買いたかったんだけど、今金欠で……ごめんね』

なにそれ。

真紀の言葉はわたしを心底イラつかせた。

カスミちゃんのものじゃない。

そのお金はわたしのお金なの。わたしのお金で真紀は恩恵をあずかれたの。

カフェ代もカラオケ代もお土産代も、全部全部わたしのお金なのに……!

『わたし、お土産いらない』

『え……?どうして?』

真紀の声が曇る。昔からバカだと思ってたけど、やっぱりバカだ。

心底バカ。救いようのない大バカ。

『人のお金で豪遊して……楽しかった?わたしには理解できないよ』

真紀は知らないのだ。そのお金の出所がわたしだと。

でも、許せなかった。そもそも例えカスミちゃんが本当にすべてのお金を出してくれたとしてもそれを喜ぶ神経が理解できなかった。

友達におごってもらうのって嬉しい?自分が惨めにならない?

お土産なんていらない。もうすべてがしっちゃかめっちゃかだ。

『もう切る』

『えっ、ちょっ、あ、愛奈!?』

一方的に電話を切ったわたし。真紀から折り返しの電話がかかってきても無視した。