カスミちゃんにイジメれらたことはあっても、他の人が主導してイジメられたことはなかった。

わたしの敵はカスミちゃんだけではなくなってしまった。

味方だと思っていた真紀だって……。

わたしはぎゅっと唇を噛みしめた。

佐知子は言っていた。

『正直、前からアンタのことウザいって思ってた。でも、真紀と仲が良いから我慢してたの』って。

まさかみんなからウザいと思われていたなんて……。

見下しているわけではないけれど、わたしはこの町もこの学校も大っ嫌いだった。

いいところなんて何一つない。ここを故郷などと思いたくない。

口にはしていなくてもそんな思いがところどころに透けてしまっていたんだろうか。

自分では気付いていなかったけれど、真紀の存在がわたしのイジメへの最後の砦だったに違いない。

真紀がいたから、わたしは今までなんとか学校へ通うことができていた。

カスミちゃん以外の人間からの悪意や敵意を向けられることも、イジメられることもなかった。

でも、そんな後ろ盾を失った今、わたしに待ち受けているのは過酷な未来だけだ。

シャワーを止める。

少しだけ眠ろう。心身ともに心底疲れ果てていた。

洗面所で体を拭き、ルームウェアに着替えた。

なにげなくガランゴロンと音を立てる洗濯機に視線を向ける。

綺麗好きな母にとってYシャツの汚れは耐えきれなかったようだ。