僕の名前はアレン。僕は普通の人間じゃない。頭には耳、お尻には尻尾が生えている。僕は人狼。だから、街では暮らさずにこの森の中で暮らしている。誰も傷つけたくないからね。

森の中にある小さな家で暮らし、食料を取りに行く時だけ家から出る。食料は木の実や川で釣った魚が多い。肉の味を知るのが怖くて肉は食べないようにしているんだ。

その日も食料がなくなったので、釣り竿を片手に持って森の中を歩く。いつ人と出会ってもいいように、服の中に尻尾を隠して黒いフードのついたマントを羽織っている。

サクサクと歩く音が響く。一人ぼっちでの生活だけど、僕は人狼だから仕方ない。残酷と罵ったって何も変わらないのだから、受け入れるしかないんだ。

川へ僕が向かっていると、僕の耳に可愛らしい歌声が響いてきた。その声に僕の頬は赤く染まる。あの子が近くにいるんだ!

僕は声のする方へと向かう。もちろんあの子に気付かれるわけにはいかないからこっそりね。