旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 団員、という言葉に反応した景虎は、ついにどこも隠さずに「はははっ」と豪快に笑った。

 いつもちょっと怖い顔で仕事をしている厳しい副社長。彼の爆発的な笑顔を見ることができるのは、私だけなんだ。

 そう思うと、結婚ってすごいな、と思う。

 私しか知らない彼の顔を、これからどれだけ発掘していけるだろう。

「もういい。お腹空いたからガッツリいかせてもらうよ」

「ああ、そうしろ。腹が減ったら大きな声が出ないからな」

「歌劇団ギャグはもういいから!」

 ひとしきり笑ったあと、私はミックスフライ定食を、彼はステーキ御前を注文した。

 注文を取る間も、料理を運んできたときも、ウエイターは私を見ても頬をぴくりとも動かさなかった。さすがプロ。

「いただきます」

 綺麗な俵型のカニクリームコロッケにナイフを入れたとき、ハッとした。

 私さっき、彼のことを「いつもちょっと怖い顔で仕事をしている厳しい副社長」って思った。

 スーツで冷たい目をしている彼の姿が、自然と脳裏に浮かんだ。