旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 つけられたフサフサまつ毛もそのまま、くっきりアイラインもそのままの私は、やっぱり現実世界では浮いているらしい。

「しょうがないでしょ。メイク落としまでは料金に入っていなかったんだもん」

 彼らは素敵な写真を撮るのが仕事であり、その後は知らん顔だ。

 髪もスプレーでガッチガチに固められたまま、「ありがとうございました!」と笑顔でお別れされてしまった。

 事前に頼んでおけば、普段メイクに直して変えることができたのかな。

「そうかそうか。それは残念だったな。それにしても腹が減った。さあ、食事を注文しよう」

「いや……もうそこまで笑われたら帰るしかないよ。飲み物だけにしよう」

 このメイクのまま食事をするなんて、どういう羞恥プレイよ。私にはそういう趣味ないんだからね。

 尖らせた私の唇に、彼はそっと人差し指を当てた。

「気にするな。俺は慣れていないけど、ここの従業員は慣れているし教育されているから、笑ったりしないさ」

「まあ従業員さんは団員になっちゃった花嫁を見慣れてるよね」