旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


「近くで見ても、綺麗だな」

「ぷ、ふふ」

 微笑んで囁かれたのがくすぐったくて、つい笑ってしまう。

 一度笑うとスイッチが入ったように、止まらなくなってしまった。

「あー恥ずかしい」

「いいじゃないか。このままキスシーンも撮ってもらおう」

「それは嫌!」

 顔を寄せようとする景虎を拒否すると、カメラマンから笑いが聞こえた。

 だって、結婚式でもないのに人前でキスとか無理。恥ずかしい。

「やっと柔らかい表情になりましたね~」

 カメラマンの言葉通り、今のがきっかけで緊張が解けたような気がする。

 普段の笑顔を取り戻した私と、完璧な紳士の景虎は、その後何カットか撮影し、和装に着替えた。

「花嫁さん、今度は爆笑じゃないですよ。ちょっとしっとりした写真にしましょう」

 カメラマンに言われ、ホテルの日本庭園をうつむき加減で歩く。

「和装もいいな。うなじが素晴らしい」

 完全な日本髪ではなく、今風にアレンジされたアップスタイルの私を後ろから見る景虎は、ちょっとおじさんくさかった。