「だ、あ、あ……」
「ん?」
仕事中にこんなことをしちゃいけない。と言いたいのに、上手く声にならなかった。
婚約するまで、たびたびこういうことをされていたのかもと思うと、恥ずかしい。
「それで、聞きたいことって?」
涼しい顔で、今思い出したように問いかける彼が憎らしい。
「も、もういい! じゃあねっ」
自分だけが動揺しているのが悔しくて、逃げるようにその場から立ち去った。
その後顔の火照りがおさまってから庶務課に戻ると、思っていたよりしっかり仕事があったので、図書室の場所を探索するなどという余分な時間は取れなかった。



