旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 まあたしかに、名前を知っているだけの同級生から「署名に協力して」とか、「寄付を募ってる」なんて怪しげなメッセージが来ることはある。

 彼ほどのセレブになると、すり寄ってくる人間も多いのかな。

「ふうん……」

 でも、こんなに便利なアプリを使わないのは、私の感覚からはありえない。

 彼からしたら、私の方が変わっている人なのかな。

 どうしてこんなに感覚が合わない人と結婚したのか、不思議が募る。

「とりあえず、放してもらえる?」

 どさくさに紛れてバックハグされたままなので、落ち着かない。

「もう少し、このまま」

 彼が譲歩する様子はなく、私はあきらめて携帯を膝に置いた。

 ちょっと変わっているところもあるけど、彼の体温は嫌いじゃないな。

 私はしばらく、彼の胸に背中を預けた。