景虎は後ろから私を抱きしめるようにし、無遠慮に画面をのぞき込む。私は抵抗しなかった。それより気になることがあったから。
「ねえ、どうしてあなたの連絡先がないの?」
隅から隅まで見ても、景虎の名前が出てこない。夫婦なのにおかしい。
指摘すると、頭の後ろでハッと息を飲むような音が聞こえた。
彼の腕の中で振り返ると、彼はいつものすまし顔だった。気のせいかな?
「俺はこのアプリが嫌いなんだ」
「どうして。便利じゃない」
「電話帳吸い上げで、昔の知り合いからいきなり連絡が来たりするだろ。手軽だからこそ、厚かましいやつらがこちらの都合関係なしにメッセージを送ってくる」



