旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 感謝しつつアイコンをざっと見て驚く。

「ひええ、ちょっと待って。高校時代の友達に子供が生まれてる……!」

 メッセージのやりとりまでは復活しなかったものの、アイコンの写真に赤ちゃんがいたりするとビックリする。と同時に本当に五年の歳月が経ったんだなあ、としみじみした。

「……混乱するといけないから、やりとりは最小限にとどめろよ」

「はあい」

 いつもの過保護発言に適当に返事をしたら、怒られた。

「こら。ちゃんと聞けよ」

 頭に手を置かれた私は、それでも携帯の画面を凝視していた。

 あ、原田さん発見。室長も。と……思いだせないひとも何人か。

「思い出せないのは、二十歳以降に出会った人ってことか」

「単に印象が薄いやつもいたりしてな」

 ぶっきらぼうに景虎が答える。私が携帯にかじりついているのが面白くないようだ。

「んー……?」

 連絡先の名前の中に、珍しく男の人を見つけた。

「アヤト?」

 表示される名前の横にあるアイコンを見る。小さな丸の中には、赤いスポーツカーの画像。

 アヤトなんて知りあいいたっけ……。