固定電話もあるしネットはパソコンでできるので、特に不自由はしていない。ただ外出となると、ないと心細い。
「ねえ、帰りに携帯を契約しに行ってもいいよね? っていうか、ネット注文できるよね」
さっと気まずそうに目線を逸らす景虎。
もしかしてあなた、私に携帯を持たせたくないとでも思っていたの?
「ねえ、どういう意味? そんなに私を閉じ込めておきたいの?」
まるで外部と連絡をとったり、接触したりすることをやめさせたいみたい。
そうでなければ、携帯持たせるよね?
「いや、SNSのトラブルとか怖いだろ。ネットで知り合った人と会ったら、悪いおじさんだったとかあるじゃないか」
「あなたは私のお父さんなの?」
まるで小学生扱い。大人でもそういう危険がないとは言い切れないけど。
「もう時間だ。先に行く」
「あ、ちょっと!」
彼はそそくさと洗面所を出る。私が追いかけると、彼は大股で玄関に急いだ。
「心配だったら上田さんやお母さんに同行を頼めよ。じゃあ」



