旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 次の日、私は用意した手土産を持ち、久しぶりの外出に浮かれていた。

 服はクローゼットにあったものを着た。自分で買った覚えのないものを着るのは、借り物を着ているみたいで落ち着かない。

「うーん、ちょっと老けたなあ」

 二十歳のつもりで鏡を見ると、なんだか違和感。

 メイクを今風に変えたからというだけではない、確実な老いを感じる。

 二十五で老いなんて言ったら、もっと年上のお姉さんに怒られるかもしれない。

 でもさ、いきなり五年も歳をとった感覚を持った私は、鏡をしっかり見る度、ちょっと落ちこむのであった。

「誰が老けたって?」

「きゃあ!」

 鏡に映る自分の後ろに人が立っているのに気づき、驚いて飛び上がった。

「こんなに魅力的なのに、何を言っているんだ」

 いつの間にか後ろにいたスーツ姿の景虎が、私の身体に腕を回す。

「ちょっ」

「嫌か?」

 嫌かと問われると、そうではない。ただ恥ずかしいし、戸惑ってしまう。

「やっぱり心配だ。このまま家に閉じ込めておきたい」