彼の趣味が前面に出ている無駄のないモダン系とは真逆とも言える。
私たち、いったいどんな共通点があって結婚したんだろう。
インテリアの趣味が合うという点ではなさそうだな、と勝手に推理した。
「どうかな。君はこの部屋に対して、何も言わなかった。もしかすると、これから大改造していくつもりだったのかもしれない」
「なるほど」
「変えたいところがあれば、遠慮なく言ってくれ。話し合って改造していこう」
彼は気分を害した風ではなかった。むしろ、これからの私との生活を楽しみにしているような口ぶりだ。
「そうですね。さっきから何かが足りないような気がしていて……」
「植物とか? そういえば熱帯魚を入れた水槽が欲しいとか言っていたような」
水槽。それは好きそうだけど、そういうものじゃなくて……。
私は広いリビングの中をぐるぐる回って、突然閃いた。
「あっ」
「うん?」
「写真が、一枚もないんだ」
ポンと拳で手のひらを打った。謎が解けてスッキリした瞬間、次の謎が浮かび上がる。
「んん? どうしてでしょう?」



