旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 お寿司とワインを堪能したあと、改めて部屋の中を見回す。

 黒い重厚感のあるソファが存在感を放つリビング。そういえば、寝室も寒色でまとめられていたっけ。

 全体的にモダンな雰囲気がするこのマンション、全然悪くないし、嫌いでもないのだけど……。

「このインテリアって、私の意見も取り入れられたんですよね?」

 ワインのアルコールで少し頬が熱くなっている私を、彼が見つめる。

「そうだけど、元々は俺が一人で住んでいたから、俺の趣味が濃く出てるかもな」

「ああ……後から私が転がり込んだんですね」

 うんうんと納得すると、彼が隣に立ってリビングを一緒に見渡す。

「なにか気になることでも?」

 聞かれて、首を横に振った。

「いえいえ、それほど大げさなことじゃないんです。ただ、自分の趣味もこの五年間で変わったのかなって」

 実家の部屋は、天然木の机やベッドを置いた、カントリー系の部屋だった。カーテンは花柄で、観葉植物をあちこちに置いて。

 小さい頃に遊んだドールハウスがカントリー系だったので、私もそういう部屋に住みたいと思っていた。