気づかれてはいけないはずのメッセージだった。あれが景虎の迷っていた心を押してくれたのだとしたら、私は運命の女神様に感謝する。

 ふふふと笑う私の肩に景虎のたくましい腕が回され、どきりとする。

「明日婚姻届、出しに行こうな」

「はい」

 頷きかけた私の顎をとらえ、景虎が唇を寄せた。濡れたそれが重なると、鼓動が嘘みたいに速くなる。

 景虎の唇は深く重なり、私の中に忍び込む。舌を吸い上げられてぼうっとする私の正面に彼は座った。

 ちゃぷんとお湯が跳ねる音がした。大きな手に翻弄された自分の声が反響する。

「恥ずかしがらなくていい。ま、そこが可愛いんだけど」

 声を押さえた私の耳元で彼が甘く囁く。胸の丸みを堪能していた手が、他の場所も平等に愛す。

 お湯の中でのぼせる前に、私はあっという間に絶頂に導かれてしまったのだった。