彼女との結婚生活は楽しかった。毎日が温かくて、幸せだった。
お互いの心がすぐに近づいていくのを感じた。結婚写真を撮り、プロポーズをやり直し……そろそろ、入籍の話をどう切り出そうか考えていた矢先、堺がすべてをめちゃくちゃにしていった。
それも予想できたことではあった。それでも俺は、萌奈が疑いなく俺についてきてくれると過信していた。
結局、俺の嘘は萌奈を苦しめる結果となってしまった。
「どうしたものか……」
萌奈が俺を拒絶すれば、身を引く約束だ。でもこのままでは終われない。
ふとポケットから取り出した携帯を見た。着信マークはない。メッセージも来ていないだろうと期待をせずにアプリを開いた。
すると、昨夜は全くつかなかった既読マークがついていた。俺は背もたれから体を浮かせた。
「電源が落ちていたのか」
すぐに電話をかける。すると、五コールめに遠慮がちな声が聞こえた。
『はい……萌奈です』



