『これは……』
俺は目を疑った。本のカバーの内側に、小さな文字で萌奈のメッセージを見つけたからだ。
『ずっとあなたが好きでした』
まばたきを忘れた。息をするのも忘れそうだった。食い入るように見つめたそれは、遅すぎる萌奈の告白だった。
『バカ……遅いんだよ』
あえて口にしなかったということは、伝えるつもりもなかったということだろう。ただ自分の想いをこの本に託したかっただけなのかもしれない。
胸が握りつぶされるような痛みを感じた。どうしても、萌奈ともう一度話さなければならない。
俺は父に連絡をし、萌奈の電話番号を尋ねた。仕事の用件があると嘘を吐いて。まだ会社にいた父は訝っていたようだが、結局は教えてくれた。
すぐに萌奈に電話をかけた。相手は俺の番号を知らない。出てくれる可能性は低い。
祈るようにコール音を聞いていると、七回目でついに電話は繋がった。
『……はい』



