びっくりしたのは、綾人からのたった一通のメッセージだ。なんとそこには『警察沙汰にはしないでください。お願いします。一度連絡をください』と書かれていた。
昨日景虎を殴ろうとして私を傷つけたことを、今仁なって後悔しているのだろう。私を思いやっているのではなく、警察沙汰になったら、綾人自身が面倒なことになるから。
私は妙に感心した。もちろん綾人ではなく、うちの両親にだ。綾人が利己的な性格だということをなんとなくわかっていて、婚約破棄に踏み切ったのだろう。
サイドミラーに打ちつけた頭の傷が、ずきりと痛んだような気がした。
一日でも早く、綾人との関係にしっかりとしたケリをつけよう。昨日までは彼を裏切ったようで、申し訳なささえ感じていたけど、今はどんな気持ちも残っていない。ただただ、無関係になりたい。
それよりも私は、景虎が夜通しメッセージを送り続けてくれていることが気にかかった。
彼は今日も出勤のはず。なのに、ずっと起きて私の帰りを待ち続けていたのだろうか。
そうであってほしいと思う気持ちと、申し訳ない気持ちがないまぜになった。どう返信をしていいか思いつかず、一旦携帯を膝の上に置いた。



