旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 婚約者がある日突然行方をくらまし、親からもちゃんとした説明もなく婚約破棄を申し入れられた。彼の立場からすれば怒りたくもなるだろう。

 見ているだけで気が重くなったが、一応全てを確認し終えた。さほど重要なメッセージはないように思えたが。

「あ……」

 着信履歴を追っていくと、事故の日に登録されていない番号からの履歴があった。

「夢じゃなかった」

 その番号は、景虎からのものだった。さっき、タクシーで見た白昼夢は、やはり私の記憶だった。

 事故に遭ったその瞬間、景虎と通話が繋がっていたんだ。

 もし、あの日事故に遭わなくて、景虎に会いに行けていたら、どんな展開が待っていたのだろう。

 考えてもしょうがないことだ。私は古い携帯を置き、新しい携帯を手にとった。

 同じように履歴を確認すると、昨日ホテルの前で別れた時点から何時間かおきに景虎と綾人、両親からの着信が代わる代わる入っていた。

 メッセージの方を確認すると、『怪我は大丈夫か』『どこに泊まるのか、とにかく連絡してくれ』と景虎や両親からのメッセージが届いていた。