「おかえり。よく帰ってきてくれたね。景虎さんから萌奈が帰っていないって聞いて、心配していたのよ」
母は玄関に入るなり、泣きそうな顔で笑った。母に心配をかけてしまったことを申し訳なく思う。
「昨夜は職場の先輩の部屋に泊めてもらったの」
「そうなら連絡してよ。捜索願を出す寸前だったんだから」
「ごめんなさい。携帯の充電が切れて」
とにかく座りなさいと、私はリビングに通された。外から見るとごりごりの日本家屋に見える我が家だけど、中に入れば洋室もある。
フローリングの床に置いたソファに座ると、母がお盆にお菓子をどっさり盛り、私の前に置いた。
「お腹空いてない? お菓子が嫌ならなんでも作るわよ」
「大丈夫。夜も朝もちゃんと食べたから」
まるでろくなものを食べていなかった家出少女の扱いだ。かつ丼でも作り出しそうな勢いの母を止めた。



