翌朝、私は原田さんと一緒にマンションを出た。

 泣きはらしたまぶたが重い。分かれ道で、原田さんは心配そうに言った。

「本当にいいの? ゆっくり休んでいっていいんだよ」

 私はゆっくりと首を横に振った。

「早く決着を付けておきたいんです」

 社会人としては、どんなことがあった翌日でも平気な顔で出勤することが望まれるのだろう。だけど私は全てに決着をつけるために動くことが最優先だと思っていた。

 このままでは、いつまでたってもなにも解決しない。私がまずやるべきことは決まっている。

「わかった。何かあったら連絡して」

 原田さんは口角を上げると、駅の方向へ歩いていった。私は踵を返し、逆方向へ。

 大通りに出て、つかまえたタクシーに乗る。実家の住所を告げ、タクシーが発車すると、しばらくして眠気が襲ってきた。

 うつらうつらとしながら、また夢に飲まれていった。