「萌奈ちゃん、大丈夫?」

 灯りを付けたのは原田さんだ。心配そうにこちらを見ている。

「すみません……」

 次の瞬間には涙でそれも見えなくなっていた。両手で顔を覆って、ゆっくり息をした。

 それなのに、嗚咽が漏れた。一度泣き始めると、もう止まらなかった。

「いいよ、我慢しないで。ずっと我慢していたんだね」

 原田さんが横になったままの私の頭を撫でてくれる。原田さんも明日仕事なのに。寝ないといけないのに。

「ごめんなさい、ごめんなさい……」

「いいよ。気が済むまで泣いていい」

 優しく頭を撫でてくれる原田さんの手が、温かかった。

 そしてそれが景虎の手ならいいのにと一瞬でも思ってしまった自分が、情けなくて恥ずかしかった。

 私はそれくらい、彼のことが好きだったんだ……。