全部なかったことにして、新しい生活を始める。ゲームのリセットボタンを押すような気楽さで、原田さんは言う。
「何回でもやり直したらいいんじゃないかな。副社長もご両親も、萌奈ちゃんも」
やり直す。リセットして、新しい人生をスタートする。それは簡単なことじゃない。
それでも、自分でやり直そうと思わなければ、結局前に進めずに停滞するだけ。
「電気消すね。おやすみ」
私は借りたタオルケットを顔まで手繰り寄せ、ソファで横になった。疲労で眠気がピークに達している。
原田さんの質問についてじっくり考える暇もなく、いいにおいのする室内で、心地いい眠りに誘われた。



