旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~



 結婚写真を撮って、クルージングデートをして、いっぱいいっぱい「かわいい」と囁いて。

 こんなに好きにさせておいて、「実は嘘をついていた」なんて、冗談じゃない。

 悲しくて悔しくて、気づけば彼を責めるような言葉が口をついて出てきていた。

「じゃあ景虎、ここで私たちが結婚していたっていう証拠を見せてよ。一年くらい付き合って結婚したって言ったよね」

「それは……」

「写真は嫌いだからないんだよね。でも、それ以外にも証拠はあるはずだよ」

 睨みつけると、彼は黙ってしまった。さっきまで差し伸べられていた手が、拳を握っている。

「ねえ……」

 どうしてこんなときだけ正直なの。なにか証拠を見せてよ。私も綾人も納得してしまうような、上手な嘘をついてよ。

 私の心配はただの杞憂だって言ってよ。綾人が何から何まで嘘をついているんだって。

「どうして何も言ってくれないの?」

 胸が痛い。指先が痛い。涙で目の前がぼやけた。

 あなたを信じたい。信じさせてよ、景虎。

「……とにかく、ここを離れよう。萌奈」

 さらに近づいてきた景虎を、綾人が横から突き飛ばした。