「黙るのはお前だ、嘘つきめ。萌奈は俺が連れていく」
私の意志なんて全く無視し、ふたりの男はにらみ合う。火花が散るとはこういうことを言うのだろうか。
「お前などに萌奈を渡すものか。萌奈は俺の妻だ」
「入籍もしていないのに、ふざけたことを。話しあいなら、全員でしようじゃないか。萌奈のご両親も呼んで」
たしかに綾人の言う通りにするのが、一番いいのかもしれない。個別だと、それぞれが自分に都合のいい嘘で私を言いくるめようとするから。
「景虎、彼の言う通りだよ。私、本当のことが知りたい」
「君は俺より、彼の言うことを信じるのか?」
そうじゃない。景虎より綾人を信用するとか、そういう話じゃない。
だんだん腹が立ってきた。私は彼を夫だと信じ、早く思い出さなきゃと思った。
だから彼と出会った会社に復帰したのに、例の図書室には一向に連れて行ってもらえない。



