景虎は、私を妻として愛してくれた。毎晩一緒に眠った。たくさんキスをした。なのに今さら、全部嘘だったって言うの?
彼に抱かれた夜、初めてのような気がしてならなかった。当たり前だ。本当に初めてだったんだから。
「ごめんなさい、今日は帰ります。両親や鳴宮に、話をして……」
またこっちから連絡するとは言えなかった。景虎のことはショックだけど、綾人とやり直したいとは思わない。
「また言いくるめられないように、一緒にいようか」
一見優しそうな綾人の申し出に、首を横に振った。その瞬間、強いめまいが私を襲う。
テーブルに突っ伏した私に、綾人が焦ったように声をかける。
「おい、大丈夫か」
少しすると、めまいはおさまった。しかし気分の悪さは消えない。
「はい……。とりあえず、帰りたい……」
「帰るって、どこへ」
どこへ、と聞かれても答えが浮かばない。私はいったい、どこへ帰るべきなのか。
「とりあえず、俺と一緒に来い。お前の周りは嘘つきばかりだ。信用できない」
「でも……」
「いいから、来い」
綾人は私を無理やり立たせ、引きずるようにしてラウンジを後にした。



