「もう逃がさない」

 景虎は私の上に四つん這いになり、片手でネクタイを緩める。有り余る色気に、めまいがしそうだ。

 両手で顔を覆うと、バサッと乾いた音がした。「おい」と声をかけられ、手をどけられる。目の前にはシャツを脱ぎ捨て、上半身裸になった景虎がいた。

 言葉を失った私にキスをしながら、彼の手は器用に私の服を脱がしていく。あっという間に裸にされた私の肌をむさぼるように、彼の口づけが全身に降り注ぐ。

「もっと楽にしろ。何も怖くはない」

 唇に深いキスをした後で囁いた彼の手が、私の胸の膨らみを包みこむ。敏感な部分に刺激を受け、思わず声が漏れた。

 彼は気をよくしたのか、舌と唇でさらなる刺激を私に与える。

 大きな手。繊細な指先。器用な舌。

 覆いかぶさる素肌の感覚、彼の体温、指の感触は、もうよく知っているもののはずなのに。私の身体は、すべてが初めてのように初心な反応を示す。

「……っ、ねえっ、本当に私、いつもこんな風にしてた……?」