なんとかこらえ、スプーンを顔から離した。彼の目は私をからかっているようには見えない。
「君は危なっかしいんだ。疑うことを知らないというか……危機感がない」
「最後のが本音でしょ」
危機感がないとは、昔からよく言われてきた。身に降りかかる危険は、「降りかかりそう」な時点で両親が全排除してくれていたのだと、今になって思う。
学校の行き帰りは車で送迎だったし、門限も厳しかった。友達関係も厳しく、少し近所で評判の悪い子がいれば、絶対に近づかないように何度も説教された。
私はといえば、評判が悪い子が本当に悪いとは限らないので、近づくか近づかないかは自分で決めようと思っていた。あえて自分から近づくことはしなかったけど、話しかけられても無視するなどということはしなかった。
結果、中二のときに私のお小遣いをあてにして近づいてきた同級生にカモにされ、毎日飲食代やらカラオケ代やらをおごらされていた。私はそれを悪いことだと思っていなかった。「友達に優しい私、エライ」と思っていた。



