雑談をしている間に、本当にわたしたちふたりだけを乗せ、クルーザーは出港してしまった。
景虎に案内され、ひとつ上の階へ。ちなみにこのクルーザーは四階まである。
「そろそろ食事にしよう」
案内されたテーブルからのぞく窓の外の景色に嘆息する。
日が落ちてラベンダー色とオレンジのグラデーションを描く、まだ夜になりきっていない空。近代的なビルが立ち並ぶ中、ぽつんと立つ観覧車がマルチカラーに光る。
「かわいい」
呟いた私の頭を、大きな手が頭の丸みを確認するようにゆっくりと撫でた。
「君の方がかわいいよ」
びっくりして正面を向くと、景虎が優しい眼差しをこちらに送っていた。余計に胸が高鳴る。
なんと返していいかわからない私を救出するように、ワインと料理が運ばれてきた。
「このお料理は誰が?」
「うちのお抱え料理人のうちのひとり。本来休みなんだが、頼んだら引き受けてくれた」



