四十分ほど車に乗って着いたのは、横浜の客船ターミナルだった。
港ににゅっと突き出しているようなそれは、一階部分は広い駐車場になっている。
二階はホールや出入国ロビーの他にレストランやカフェもあるらしいので、そこで食事をするのかも。
「上田さんには連絡しておいたから」
景虎は迷う様子もなく私を誘導する。
夕飯を用意させておいて食べないんじゃ上田さんに申し訳ない。
私より早くそういうところに気づく景虎に、素直に感心した。
東京の夜景はマンションから見慣れているけど、横浜の夜景は初めて。
わくわくしながらレストランの看板がある方に歩いていく私を、彼は手をつかんで止めた。
「こっちだ」
「はい?」
なんと彼が指さした先には、出航カウンターが。船に乗る人たちの受付カウンターだが、誰も並んでいない。代わりに到着したばかりの客がちらほらといた。
景虎に手を繋がれてついていくと、彼は迷いなくカウンターに近づいた。
まさか、今から船に乗ろうというのか。港に停留していた大型客船が脳裏に浮かぶ。ああいうのって、予約してないと乗れないはずだけど……。



