旦那様は懐妊初夜をご所望です~ワケあり夫婦なので子作りするとは聞いていません~


 仕方ないよ、佐原さんはああいう人だもの。子供っぽいというか……うん、正直なのよ。自分の気持ちに。

 過去何度も無視されたりして、その都度諦めてきた。

 あっちが私を拒絶している限り、和解することなど無理なのだ。

 そういった悲しいことは少しずつ思いだせる。

「すいません。私が座っちゃったばかりに」

 午後から佐原さんと一緒に仕事をする原田さんが心配で、謝った。

「んーん。気にしないで」

 原田さんは平気な顔で首を横に振った。

「あの子は潔癖症なのよ」

「はあ」

 その言い方じゃあ私がウイルスかバイキンみたいと思ったけど、言わないでおいた。「気に入らないものをとことん排除したい性格」というたとえだろう。

「それより、体の方はどう? もうすっかりいいの?」

「ええ、体の方は元気です」

 頭以外は幸い打ち身だけだったので大事にならずに済んだ。

 事故後しばらくはあっちこっち痛くて、おばあちゃんみたいに湿布を貼りまくっていたけど、今ではそれもない。