サッカー部のイケメンと称される飯塚くんに呼び出され、「付き合ってほしい」と告白を受けた。

　勿論、私は戸惑った。

　今まで全く意識していなかった相手で、尚且つイケメン。女子からの支持率も熱い。

　ジッと顔を見るのでさえ恐れ多い彼が私を知っていたというのも驚きだった。

　急な告白に戸惑ったものの、返事はやはり「ごめんなさい」だ。

　その時に言われたのだ。

「香月ってさ、もしかしてだけど。同じクラスの漣(さざなみ)と付き合ってる？」と。

　私は何故そう聞かれたのか分からなくて、曖昧に首を振った。

「……な、何で急にそんな事？」

「何でって。香月、最近すごく綺麗になったから」

「えっ」

　サラッとそんな事を言ってのけるのもイケメンの為せる技だと思ったが。

　私の頭の中は、その瞬間から漣(さざなみ) 蒼斗(あおと)でいっぱいになった。

　ふと気付いた時にいつもそこにいる男友達を急に意識して、今までに説明のつかなかった胸の鼓動の結論を無理やり突き付けられたような気がして、思いのほかにまごついた。

　今まではこれが恋だと無自覚だったからこそ、今、隣りに彼がいるのをこそばゆく感じた。