「元彼からラインが来た」

「嘘」

「え、八宏の元彼って一ヶ月前に別れたあの?2年近く付き合ってたった一言で八宏を振ったって噂の、あの元彼?」

「…へえ、それは面白い話じゃん」


片頬の口の端を器用にあげてニヤリと笑った普結くんに話の続きを促される。


「なんて連絡きたの?」

「まさか、ふ、復縁とか」

「……………″いつもの牛乳なかったよ″って一言だけ」

「………牛乳」

「それは、なんていうか、
縦読みとか?そういう、暗号的な何か?」


困惑する鈴木とリエちゃんに神妙な顔で首を振って見せる。

違うんだよ。

そんな大層な、暗号めいた手の込んだメッセージでは無かったんだよ。



「お母さんへ送るラインだったらしい」

「…は?」

「お母さん…?」

「間違えて送ったんだって。あたしに。」

「……………」



一拍置いて、ブボォォッと物凄い破裂音がした。

普結くんが噴き出した音だったらしい。


その音を合図にしたように、
リエちゃんも鈴木も声を上げて笑い出した。