《ここみ》
「ここみ~、お昼食べよっ。」

来たよ、私の素敵な親友が!

「うん! 今日は、お昼なにかな~?」

「私の、唐揚げ入ってる! やった!」

こんな些細なことで喜んでいる喜菜がかわいい。

森本くんは、幸せ者だなぁ。

なんて思ってたら…

「ってか、ここみってなんで彼氏作らないの? すごい美人さんなのに」

喜菜からの突然の質問。

答えるか否か。

でも…喜菜は親友だしウソはつきたくない。

私は全てを話した。

中学生のころ、付き合っていた彼氏がいたこと。

だけど、その彼氏が浮気していたこと。

喜菜は、最後までしっかり聞いてくれた。

「…と、言うわけ」

「そうなんだ…。だから、ここみいつも恋愛より友情って言ってるんだね。なにも知らずに、彼氏作ったらなんて言ってごめんね。」

謝ってくれる喜菜。

「そんなことはいいの! むしろ話せてスッキリしたし!」

私だってほんとは彼氏が欲しい。

みんなみたいに青春したい。

花の女子高生として輝きたい。

…そう思うけど、私は人を好きになる気持ちを忘れてしまった。

だから、もう恋愛はできない。

ずっと、あの彼氏のトラウマを背負って生きていくしかないんだ。