《ここみside》

「ここみ~、一緒にお弁当食べよっ」

喜菜がお弁当をもって誘ってくる。

「うん、食べよー」

言ってから気づいたけど、喜菜、今日森本くんとお弁当食べるって言ってなかった?

「ね、喜菜。森本くんは?」

「あぁ、拓なら、部活の会議みたいなのがあるんだって」

ふーん、森本くんも忙しいんだね。

「ここみ、早く食べようよ。お腹減ったよー」

はいはい、わかったわかった。

「「いただきまーす!」」

二人でご飯を食べていると、何やら後ろから視線が…。

振り返ってみると、女の子が数人で集まって、こちらを見てる。

なんだろう。

私か喜菜に、なにか用事かな。

…なんてことを考えていると。

女の子達が近づいてきた。

「ね、この子ならあり得るでしょ」

「た、確かに…」

「…やばっ、近くで見ても、可愛すぎ」

な、なんだろう。

あり得るとか、可愛すぎとか、どう言うことかな…?

喜菜なんて、意味がわからない、みたいな顔をしている。

「あのぉ、なにか用ですか?」

私は、ズバリと聞く。

「あの…えーっと」

「ちょっと、早く言いなよー」

四人の女の子は、もじもじとしている。

「あのっ、新藤くんと付き合ってるって、ほんとなんですか?」

付き合ってる…、まぁ付き合ってるのかな。

お試しだけど。

「うん。樹くんと付き合ってるよ。なにか…いけないことでもあった?」

「いやいやいやいやいや!」

「そんなことは、一切ございません! ご安心ください。桃色の姫」

桃色の姫…?

「あの…桃色の姫って?」

「私も気になる!」

私が、女の子に訪ねると喜菜も、言った。

「桃色の姫って言うのはぁ…」

「って言うのは…」

この子達、すごいためるんだなぁ。

「ズバリ、あなたのことでございます。桃色の姫!」

は…?

「つまり、私、桃山ここみが…」

「そぉーですそーです! あなた様が、桃色の姫です!」

きゃ、キャラがすごい…!

「でも…それほど…っていうか、姫ってほどでも…」

「え~、でもここみは可愛いよ」

喜菜、私を持ち上げないで!

「いやー、ほんと、桃山さんが可愛くなかったら、私らクズレベルだわ」

「いやいや、謙遜なさらないで。美人じゃないですか、あなた方」

「いやいや、彼氏いない歴=年齢の私が!?」

「私なんて、ニキビだらけなんですけど!」

「ほんっとそれ! 桃色の姫がいい人過ぎたんだわ」

女の子達がワーキャー言ってる間に、予鈴が鳴ってしまった。

もう少し話したかったなぁ…

ちょっとテンションが高いけど、一緒にいたら楽しいし。

なんてことを、喜菜と話していた。