部屋に戻ったら、喜菜が帰っていた。
「ここみ、新藤くんに呼び出されてたんだってね? 何かあったの?」
「そ、それが…つっ、付き合うことになっちゃった…」
私も、イマイチ実感がわかないというか…
でも、嬉しくない訳じゃない。
素敵な彼氏ができたらいいな、と思っているし、新藤くんのことも好きだから。
「えっ! ここみ、おめでとぉー!」
「キャーッ、ついにここみちゃんも彼氏持ちだぁっ!」
「あぁ! 私だけ取り残されたぁ…」
あ、でもお試しだよっ…
言いそびれちゃったら、言いづらいなぁ
「あの…お試しだよ?」
「お試し? そんなの関係ないよ、ここみちゃん」
「そうだよ、ここみ。明日の自由時間は二人でゆっくりまわりなよ?」
お、押しが強い…!
頼りになるなぁ…!
「わかった! でも、喜菜たちは? 自由時間はどうするの?」
私は、新藤くんとまわるなら、春奈ちゃんたちや喜菜はどうするんだろう?
「え? 私は、漣とまわるよ?」
あ、そっか。
梓ちゃんには、彼氏いるから、当たり前か。
ってことは…
「私は、拓と。さっき呼び出されたとき、その話してたんだ~!」
やっぱり!
喜菜は、森本くんと、まわるんだね。
でも、春奈ちゃんは…彼氏いないから。
誰とまわるのかな?
「みんな羨ましい~って、言うとこなんだろうけど、実は、誘われてるんだぁ~!」
「え~っ、春奈、なにそれ~? 聞いてないよー!」
「うん、だって今言ったもん。」
「で、相手はだぁれ?」
「藤岡くんだよ~」
藤岡くん…って、どっちの?
「えっ、まさか…漣と浮気?」
まさか。
そんなわけないよね。
「そんなわけないでしょ梓。藤岡夏樹くんだよ」
やっぱりそうだよね!
藤岡夏樹かぁ。
藤岡漣くんのイトコなんだよね。
「へぇ~、いい感じになったらいいね~」
「ありがと~、喜菜ちゃん。みんな、頑張ろうね~」
みんなが、楽しく、自由時間がまわれればいいな~!

