居候同期とフクザツな恋事情




え、何?

びっくりして振り向いた私が見たのは、空っぽの状態で上昇していくエレベーター。それから、閉じたエレベーターの前で大きなスーツケースを片手に切羽詰まった表情で立つ仲林くん。


え、仲林くんちは6階だよね?どうして一緒に降りてるの?

もしかして、ここ6階?

ちょっと後退りながらエレベーターの扉の横を見ると、そこにはちゃんと「5」という数字が書かれてあった。

よかった。ここはちゃんと5階だ。

じゃぁ何?仲林くんが間違えたの?

扉の横の数字から仲林くんに視線を移すと、彼が縋るような目で私を見つめていた。


え、何、何!?

ジワリと感じる不穏な空気に、数歩後ろに後ずさる。

すると、私が離れた分だけ仲林くんが近付いてきた。

同時にガラガラと大きな音を立てるスーツケースに、酔いも冷めてびびってしまう。


え、何、何、何⁉︎

これ以上詰め寄られたら、走って逃げよう。

いつでも方向転換できるよう準備を整えながら、さらに数歩後ずさる。