場所はなんとなく知っているけれど、実際にシステム開発部まで足を運んだのは初めてだった。
入り口からそっと中を覗くと、並んだデスクの奥のほうに仲林くんの姿が見える。
パソコンに向かって真剣な顔付きで仕事をする彼は、うちに転がり込んできてチャーハンを焦がしたり、フライパンを発火させたり、朝寝坊していつまでもぐーすか寝ている彼とはまるで別人のようだった。
職場では、仕事できる風なイケメンなのね。
「どうかされました?うちの部署に何かご用でも?」
仕事に集中している仲林くんを入り口の外から眺めていたら、不意に後ろから声をかけられた。
ドキッとして振り向くと、おそらくいくつか先輩だと思われる女性社員が立っていた。
「あ、えっと……仲林くんを呼んでもらえますか?」
「仲林くん?」
彼女が私を見て首を傾げるから、不審人物だとでも思われてるんじゃないかと少し焦る。



